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これは日常生活で人が計算知識を使わずにいかに外界を使って問題を解いているか、それにおける人の賢さとは何かについて調べた研究です。 実験は、被験者に折り紙の「2/3の3/4に斜線を引いてください」という課題を解いてもらいました。ここで掛け算して計算しても解けますが、人は実際に紙を折ったり目盛ったり「外の世界を使って」答えを求めようとします。そこでその過程を分析すると、2/3ができたところで一度紙を開いて折り目を確認して3/4を折る、というステップで進みます。つまりこれは外の世界に中途結果を出して、そこでその状態が正しくできているかを確認するのに使っている、と考えられます。 次に、被験者を1人と2人に分けて実験を行ったところ、1人だと「折る」だけで答えを求めようとしたのに対し、2人では折りながら「計算」で求めることに気づきやすい傾向がありました。その過程を分析すると、一人が2/3を作り開いて確認して次の3/4を作ろうとしているとき、もう一人はすでに3/4に折り目を付けたような見方をして1/2という答えを出します。それは本当か、と一人が折って1/2を確かめたとき、もう一人は1/2の折り目から2/3の3/4を見直す見方をして「掛け算すればできる」と気づきます。つまりこれは、中途結果に対するそれぞれの見方を提案することから、解き方や考え方の幅が段々と広がっていくことが考えられます。 これより外界を巧みに利用することと、それをお互いが異なる見方を提案することが大事であると分かりました。 白水始 (2000) 「外界を能動的に利用した計算(2)−共同問題解決場面による実証−」 日本認知科学会 第17回大会発表論文集, pp.34-35.
これは人が物事を「分かる」過程で何が起きているか、そしてより深く「分かる」ために他者の視点が役立つのかについて調べた研究です。 実験は、「ミシンの縫い目はどうやってできるか」について考えてもらいました。ミシンの縫い目は、上糸と下糸が絡み合ってできています。しかし縫っている途中は上糸の片方の端は糸巻きにあり、もう一方の端は布につながっています。一方下糸の端はボビンにあり、もう一方の端は布につながっています。このとき端のない2本の糸が実際にどのように絡み合うか、この問題について2人で一緒に考えてもらいました。 その過程を分析すると、「分かる」ことがさらに「分からない」ことを生み出していくことが分かりました。例えば「針によって上糸の輪ができ、その輪がボビンで下糸を通し、針を輪が引き上げることで縫い目ができる」と考えたとする。すると「ボビンが上糸の輪と下糸を通す働きはどのような機構になっているか」という問題が残るので、それを分かろうとします。そしてこのようなことが繰り返し起こることで、理解が深くなっていくことが分かりました。 また2人いることで、あまり分かっていない人がよく分かっている人の考えをチェックしたり批判することで、それがよく分かっている人に「わからない」を生むきっかけとなることが分かりました。例えば、少しわかっている人が「ボビンには隙間があってそこに輪が通る」と発話したとき、少しわかっていない人が「ボビンは宙に浮いた構造になっているの」と相手を批判する。ここで相手に説明できないとき、それを問題として説明を探ろうとする。このように2人いることで、相手に説明をしなければならない状況を作るため、効果的に理解を深める仕組みとなることが分かりました。 Miyake,N (1986) The constructive interaction and the iterative process of understanding. Cognitive Science, 10, pp.151-177.
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